”ねじれ”の改革力問われる予算国会
より深く知ろうとする人のために 中央公論 2008 3
時評2008”ねじれ”の改革力問われる予算国会 中西寛 京大教授
テロ特措法の審議過程で明るみに出た防衛省及び自衛隊に関するいくつかの問題は、同法が与党の多数によってそのまま延長されていれば発見出来なかった可能性が高い。この事をもっても「ねじれ」がもたらした政治運営の緊張感にプラス効果をもったと言いうる。
しかし、「ねじれ国会」の真価が問われるのは、第2幕とも言うべき既に開会した通常国会である。特にガソリンに対する付帯的な課税を定めた暫定税率法等である。
この議論を聴く限り、与野党双方の主張にも理があり、単なる政争の具でないように思える。
問題は予算との関連で決着に時間がかかることである。予算の成立を先のばしにするのは望ましくない。とすれば一案として、本格的な再検討を来年度に行うことを与野党が合意し、場合によっては暫定税率を一部一掃した上で、3月末の日切れに間に合うよう参議委員で可否を決し、否決の場合には衆議院で3分2で再可決することも考えてよいのではないか。
多くの日本人が感じ始めているように、日本は内外で縮小環境に入りつつある。
メデアによる世論の沸騰と、それに安易に迎合する政策運営が表面だけの改革をもたらし、しばらく後に見直しを余儀なくされるという状態が続いている。
「ねじれ」を奇貨として、この最後の機会を活かし、真の改革を実現できるか、問われているのは日本人の器量である。
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