子供が生まれない国
中央公論 2009 10 特集 子供の生まれない国
子供の生まれない国
戦後復興期を経て急成長を遂げたニポッポン。当時、働き盛りの勤労者世帯に向け都市近郊には大団地が造成され、出産ブームとあわせて小学校が次々と増設された。空き地には、夕暮れ時まで子供の声が響いていたから、少子化の危機を感じた人はまずいなかった。それは、政治も行政も同じだ。だから、国はすでに生まれた人間の頭数を必死で数え、均衡ある国土発展を目指して富の再配分を勤しんだ。
ところが、事態は一変した。高度成長が終わり、潮が引いたように活気を失った日本社会を見渡せば、この国は世界でも最も子供が生まれない国の一つになってしまった。もはや小学校は空き教室だらけで、子供の姿を見る機会は激減した。目を凝らせば産み育てやすい地域だけに子供が生まれ、大勢の若者をひきつけながらも地域社会を分断された都市部などではなかな子供が生まれていない。「再生力格差」は、すでに子供一人分もあるのだ。
近年、少子化対策の必要性が声高に叫けばれている。幼児の医療費無料化、出産手当、児童手当、・・・・・。これだけ再生力格差が広がった現実を度外視し、バラマキのにおいもする全国一律的な処方箋でこの国の再生力を取り戻せるのだろうか・・・・
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