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2010年9月10日 (金)

新潮45 巻頭言 風が時間を 80歳のニューヨーク行き③ 徳岡孝夫

新潮45 2010 9 巻頭言

風が時間を 80歳のニューヨーク行き③ 徳岡孝夫

タクシーに「ブルックリンのピーター・ルーカー」と言った
だけで通じた。外観は変哲なし、「創業1887年」とある
菊池寛の生まれる前の年からビフテキを焼いている。

食い意地の張った私は気が急いていた。長男と二人で
入って座るなり、「ニューヨーク・カット 二人前。二つとも
ウエルダン」と注文した。
よく焼けと指定したのには理由がる。ニューヨーク・カット
のステーキは東京でも食える。私は、さる若い知名人を
有楽町の外紙記者クラブに招いたことがある。
少し粋がってか、焼き具合を「レア」と注文した。
それが出て彼がナイフを入れると、牛の血が予想を超える
量で流れ出た。彼とても草食民俗の一人。食欲が一時に
萎えるのが見て取れた。私は見ぬふりをして黙々と自分
のハンバーグを食った。

やがて運ばれてきたNYのビフテキ6百グラムは無用の
牛の血もなく、私はたちまち(骨は残して)平らげた。
「旨い」と「不味い」とういう語彙しか持たぬ私は満足し
たが、食通の息子は「このソースはひどいね。バーベー
キュー好みのアメリカ人らしい」と評した。

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