時評2010 歴史的「円ドル」芝居の幕引きを 浜矩子
中央公論 2010 10
時評2010 歴史的「円ドル」芝居の幕引きを
浜矩子 経済学者 Hama Noriko
我々今、壮大な歴史ドラマの最終場面に近づきつつある。
その思いを強くする日々だ。ニクソン・ショック(1971年)
プラザ合意(1985年)、ブラック・マンディ(1987年)
アジア通貨危機(1997年)、そしてリーマン・ショック
(2008年)だ。これらの出来事を回転軸とする歴史トラマ
の主人公は誰だ。
主人公は実は双子だ。「円ドル」という名の切っても切れ
ない仲の双子だ。両者は双子であると同時に弥次郎兵衛
関係にある。
所詮は一蓮托生だ。だからこそ、両者の間に絶妙なバラ
ンスを見出さねければいけない。その黄金の均衡点を
発見するための探索の旅。それが、ニクソン・ショックを
出発点とするこれまでのドラマのプロセスだったといって
いいだろう。
長年にわたるドルの過大評価が、ようやく本格的に修正
され、80円割れ、70円割れを目指して進む円高・ドル
安の動きは歴史の必然である。歴史の必然を押し戻す
ためにばかりにエレルギーを費やすのは徒労だ。
性急過ぎる決着はカオスをもたらす。G20でもG7でも
G8でもいい。「円ドル」二兄弟に呼びかけて、この
ドラマをどう上手に終わらせるかというテーマについて、
知恵を出し合う場を持てないか。さもないと、地球経済
は二つの戦争に突入していくことになりそうだ。
一に為替戦争、二に金利戦争である。
新しい均衡点を世界に向かって語りかける度胸が欲しい
それは「円ドル」双子のうち、急落していくドル側ではなく
て、急浮上中の円側の方の役割だろう。
視野狭窄に陥ってパニックしている場合ではない。
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